フォトエッチングについて

2021年12月6日

表面処理・印刷・加工技術

フォトエッチング加工とは、エッチング加工技術に、フォト（photo）、つまり精密な写真技術・精密画像技術をマッチさせた精密加工技術です。エッチング銘板は薬剤を片面のみに噴霧させて金属を溶かし、板を途中まで彫り込む加工方法です。対してフォトエッチングは薬剤を両面から噴霧させて金属を溶かし貫通させる加工方法です。工具や金型を使用する一般的な金属銘板の加工技術では再現しづらい極小部品・極薄板製品や特殊・複雑形状の製品など、薄板金属加工における超精密な加工要求・精度にも対応が可能です。そのことから電子部品や医療機器、光学関連の製品など様々な分野で使用されています。

今回は多岐にわたる分野で使用されているフォトエッチングについてご説明していきます。

フォトエッチングとは

フォトエッチング加工とは、エッチング加工技術に、精密写真技術・精密画像技術を利用した金属の加工技術です。エッチング加工につきましては、以前のコラムでもご紹介しているのでぜひご確認ください。

＞＞エッチング技術を用いた金属ネームプレート作成

フォトエッチング加工は、薄い金属を精密写真技術・精密画像技術を用い、腐食させたくない部分に耐食膜を形成し、それ以外の部分を腐食（溶解）加工させる加工技術です。金型不要でステンシル（メタルマスク）、精密バネ、精密スペーサー、カメラ絞り部など、高精度な内部部品やエレクトロニクス製品などにおける極小部品・極薄板製品や特殊・複雑形状の製品などを製作することが可能です。

フォトエッチングの特徴

フォトエッチング技術における優れた利点・特徴などをご説明します。

金型・治具が不要

プレス加工における金型に相当するものとして、フォトエッチングでは耐食膜（フィルムマスク）を原版に使用します。プレス加工では汎用金型では対応できない特殊・複雑形状のプレス抜きの場合は専用の金型製作が必要になり、金型の製作コストが非常に高価になります。しかし、フォトエッチングの場合一般的な金型と比べても安価なうえに、短時間で作成することができます。

また、フォトエッチングの原版であるフィルムマスクは、変更も比較的容易でスピーディーな対応が可能なため、試作品や小ロットの製品をプレス加工よりも短納期で製作することが可能です。

薄板であるほど高精度加工が可能

フォトエッチングは化学的な腐食により金属を溶かすことで加工していることから、エッチング加工を施す素材材料の厚さ（板厚）が薄ければ薄いほどシャープで高精度な加工ができます。そのため薄板金属の精密加工に適しています。また、プレス加工に比べても、薄板への加工やより複雑な形状の加工が得意です。

バリ・カエリ・ひずみ・たわみ等の材料変形の心配がない

化学反応・腐食による加工は、非接触加工であるため、フォトエッチング加工においては、プレス金型加工の際懸念されるような、抜き加工・せん断加工時のバリ・カエリ・ひずみ・たわみなどが原理的に発生しません。

超精密・高密度・複雑・微細加工ができる

フォトエッチングの原版は、CAD・CAMといったデータを用いた精密写真技術によるフィルムマスクにより作成されます。そのため、微細で複雑かつ精密な形状や微細貫通加工を高密度で行うことができます。

複雑な穴形状、深さ調整も可能な溝加工・凹凸加工ができる

フォトエッチングでは、板厚の半分だけを残して腐食加工するような凹凸の加工や溝加工を行うこともできます。

フォトエッチングのメリット・デメリット

フォトエッチングのメリット・デメリットについてご紹介します。

メリット

初期費用を抑えられる

上記でもご紹介した通り、フォトエッチング加工では金型の設計や作成が必要ないため、イニシャルコストが抑えられます。

短納期での加工が可能

フォトエッチング加工では金型の作成が不要なため、原版作成の時間が大幅に短縮でき、短納期で加工を行うことができます。さらに、パターンの変更などが必要な場合でも、金型の変更などを行う必要がないため、スピーディーに行えます。

繊細で精度を要求される加工が可能

化学反応・腐食による加工を行うフォトエッチング加工は、非接触加工であるため、プレス加工などで懸念されるバリ・カエリ・ひずみ・たわみなどが発生しません。そのため、エッチング加工は、薄板への加工や複雑な形状の製品への加工などに適しており、デザインなどが繊細で、精度が要求される加工も可能となっています。